エアコン洗浄は何年に1回するべきか?
中小企業診断士のコンサル力と
現場を経験した電気工事士の技術力を兼ね備えた
おっさんの独り言
本記事は業務用のエアコンについて書かせていただいておりますので家庭用のエアコンには当てはまらないことも多いです。
エアコン洗浄は何年に1回するべきか?
すみません・・・
結論から言いますと、店舗によって異なります。
エアコン洗浄を売っている立場からするとできれば1年に1回、最低でも3年に1回していただきたいのですが・・・
そんな記事じゃ納得しないですよね・・・
すーごく長くなるのですが営業的な立場ではなく中小企業診断士と電気工事士の立場から語らして頂きましょう
なーがい文章を読むのが嫌な人は「まとめ」に飛んでください。
さて、どういう考え方でエアコン洗浄の頻度を決めていくかの考え方を書いていこうと思いますが、まずは前提としてエアコンはお客様や従業員の労働環境を整えるための設備であり、会社の利益を上げるための物という考え方であるということを念頭に置いていただきたいのです。(従業員の労働環境を整える事も生産性向上、離職率の低下等会社の利益に関するものとなります。)
エアコンは自分の資産!可愛くて仕方ないのでキレイにキレイにピカピカに!!といった考え方の人には参考になりませんのでご了承お願い致します。
では、なぜ店舗により違うかというとお客様の入り、人の流れ、冷房能力、天井高、売上、利益率、すべての店舗で一つとして同じ店は無いからです。
エアコン洗浄をする理由として以下のことが考えられます。
電気代の削減 → エアコン洗浄をすると本当に電気代は安くなるのか?
水漏れ予防 → エアコン洗浄をしないと本当に水漏れするのか?
冷房の力の回復 → エアコン洗浄をすると涼しさがアップする?
悪臭予防 → エアコン洗浄すると本当に臭いは収まるのか?
保全目的 → エアコン洗浄をするとエアコンは長持ちするのか?
カビ除去 → エアコンの内部は本当にカビだらけか?
埃除去 → エアコンからほこりが出てくる場合
この様に巷でうわさされているメリットを列挙しましたが、中には誇大広告か?と思わせるようなあまり効果のないものもありますので、気になる方は別記事をご覧ください。(記事作成中)
まず、1年でどの位汚れるのか?3年でどの位汚れるのか?を考えた場合使用環境によって雲泥の差があります。詳細は下記ページへ
→エアコンが汚れやすい環境ランキング(記事作成中)
汚れ具合でエアコン洗浄回数を判断するのも一つの手ですが、汚れで判断するよりも汚れの影響でどのような不具合が出るかを考えていきます。
店舗様が気になる部分は「保全目的」、壊れた、暑いなどとお客様からのクレームが一番困るのではないでしょうか、それどころかエアコンが全台壊れてしまった場合ほとんどの店舗様が営業できなくて店を閉めてしまいます。
中には営業を強行する店舗様もいらっしゃいますが、昔エアコンが壊れた安いキャバクラが営業を強行していて汗ダラダラになりながら、女の子が「延長して」とお願いしてきたが、全力で断ったことがある。
などの話は置いといて、ここから少し難しくなるので、もう無理と感じた方はそっとページを閉じてうちに依頼してください。
まずは、エアコンが壊れた場合に失われる機会損失を計算します。
おっ!中小企業診断士らしくなってきましたね!
具体的に言うとエアコンが壊れた時に営業出来なかった場合や、壊れたエアコン周りの席数を減らしての営業による売り上げ損失を計算し、そこから得れるはずだった利益額を計算し損益の観点からみていきます。
※注 真剣に計算方法を学ぼうとしている方は読まないでください、あまり役に立ちません
では、例を用いて実際に計算してみましょう。
エアコン2台、エアコンがツイン(室外機とリモコンスイッチが1台で室内機が2台なので2台とも使用不可能になることが多い)の為エアコンが故障すると営業出来なくなるので売り上げは0になる。1日の売り上げ7万円 利益額5万円とします。
利益率すげーな!と思われるかもしれませんが、店を閉めていても、開けていても発生する費用(固定費)は引きません。
MTBF(平均故障間隔)=使用時間の和/故障回数 は3年
MTTR(平均修復時間)=修理時間の和/修理回数 は7日
とします。故障回数、修理時間はエアコン洗浄をしていても起こる故障は除きます。
利益額5万円×修理日数7日=35万円
1回あたりのエアコン洗浄費を5万円に設定します。(うちはもっと安いですが・・・)
すると毎年しても
エアコン洗浄費5万円×3回=15万円
となり毎年エアコン洗浄した方が良い結果となります。
しかし、
利益額が2万円に満たない場合
利益額2万円×修理日数7日=14万円
となり毎年エアコン洗浄したら洗浄費の方が上回ってしまします。
次に考慮するのが修理費用です。
エアコン洗浄をすることにより回避できる故障があります。
前述のMTBFを参考にすると3年間で1回故障するので修理費が58000円としたら(当社では室内機保障を行っているので回避できる修理代はかなり大きくなります。)
利益額2万円でも毎年洗浄する価値が出ますが
(利益額2万円×修理日数7日)+回避可能修理費58,000円-(エアコン洗浄費5万円×3回=15万円)=>0
となり毎年洗浄する価値が出ますが、利益額1万円ではさすがに毎年洗浄する価値は計算上出ません
ここまで難しく書いてきたのですが、こんな計算式など机上の空論だという方がいます。
・・・その通りです。
その他にも考慮しなければならないことが何点かあるからです。
店を閉めてしまう事や、匂いの問題に対して起こるイメージの低下もありますがこの辺りはどの位の売り上げダウンとなるのか算出しづらい項目です。
そもそもMTBFとMTTRの値が不明確です。当社の経験に基づいて平均と大きく乖離はしていないであろう数値は出させていただきましたが、この数値がその店舗に当てはまるとは言えません。エアコンメーカー、設置環境、工事内容、使用頻度、使用環境等すべてがそれぞれの店舗様で違うからです。(1年に1回エアコン洗浄をする時と、3年に1回エアコン洗浄をする時のMTBFとMTTRの値は違うだろという、つっこみもあります。)
まあ実際こんな計算をして、エアコン洗浄回数を決定しているところなんてないでしょうが、エアコンに限らず設備メンテナンスをする際の一つの重要な考え方になります。例えば、非常に高価で、気温や湿度に敏感な物(巨大サーバーや、超重要文化財など)を保管していて、絶対にエアコンを止めてはいけない所では万が一故障してもバックアップとして予備のエアコンがあり、予備のエアコンと共に莫大なメンテナンス費用をかけているところもあります。それはその設備が故障した際の損失額が莫大になるのでメンテナンス費用が莫大でも釣り合うのです。
まとめ
儲かっていたら年に1回、普通なら2年に1回、儲かってなかったら3年に1回がベスト
これなら、儲かっているところの方が、人の流が多く汚れやすいので、汚れの観点からみても、損益の観点からみても理にかなっていると思います。
実際、大手飲食チェーンでは店舗売り上げに応じて、その店舗のエアコン洗浄回数を決定しているところもあります。